第1話 獅子、再び地球へ

〜 帰ってきたウルトラマンレオ 〜

 宇宙の深淵を裂くように、赤い閃光が走った。

 おおとりゲン——かつてのウルトラマンレオは、地球に向かっていた。
 新たな任務、新たな戦い、そして新たな「姿」で。

「……ふぅ、やっぱり慣れないな」

 地球圏へと降り立つゲンの姿は、長い赤茶の髪をなびかせた若い女性、その名も「おおとり 聖華せいか」。
 だが、その外見に惑わされてはいけない。
 中身は不器用で、真っ直ぐで、地球を愛する戦士、男のままのウルトラマンレオ本人だった。

 地球を狙う新たな脅威、その報せを受けて戻ってきた。
 だが、今回は正体を隠すため、擬態を大きく変えたのだ。

「地球は、俺が護る」



 東京湾沖——突如、海面が不気味に泡立つ。
 巨大な影が水面から姿を現した。

「グギャアアアア!!」

 それは、かつての円盤生物を思わせる異形の怪物——円盤獣。
 だが、その構造は明らかに改良され、未知のエネルギーをまとっていた。

 街の人々が逃げ惑う中、静かに歩み寄る女性がひとり。
 赤いジャケットを羽織り、鋭い眼差しを光らせる「鳳 聖華」。

「この星は……俺の、新しい故郷だ」

 変身アイテムを握りしめ、聖華は空高くジャンプする。
 赤き閃光が夜空を照らし、巨大な戦士、ウルトラマンレオが再びその姿を現した。

「行くぞ……!」

 赤い獅子が、再び地球を護るため戦い始める。
 その正体は、美しい女性の姿を借りた、誇り高き戦士——ウルトラマンレオ。

 夜空を裂き、赤き戦士が降り立つ。

 ウルトラマンレオ——かつて地球を護った戦士、その姿が再び現れた。
 円盤獣は、咆哮とともに触手のような奇怪な腕を振り上げ、レオへと襲いかかる。

「グギャアアアア!!」

 鋭い一撃を避け、レオは身を翻す。
 素早く距離を詰め、強烈なキックが怪物の胴体を捉えた。

 しかし——
 手応えはある、だが倒しきれない。
 この円盤獣は、単なる再生品ではない。進化している。

「地球は、もう好きにはさせない!」

 さらに連撃を浴びせるレオ。だが、怪物は倒れず、逆に高層ビルを次々と破壊し始める。
 人々の悲鳴が響く中、レオの心は焦りを募らせる。

 そんな中、通信が脳裏に届いた。
 宇宙警備隊からの緊急報告。

『確認された個体は「円盤獣」型だが、背後に未知の艦隊反応あり。単独行動ではない』

「やはり……これはただの残党じゃない」

 状況を見極めたレオは、一時撤退を選択する。
 ビルの陰に身を隠し、再び人間体・鳳 聖華へと姿を戻す。

「くそっ……アイツら、地球を狙ってやがる」

 赤いジャケットの女性——だがその目には、戦士の覚悟が宿っていた。
 たとえ姿を変えようとも、その魂はウルトラマンレオのまま。

「地球は、俺が護る。たとえ何度でも」

 夜の街に、不穏な闇が広がっていく。
 だが赤き獅子もまた、その闇を打ち砕くべく動き出していた。