第10話 迫る罠、奪われた聖華

〜 帰ってきたウルトラマンレオ 〜

 朝の通勤路。
 何気ないはずの街角に、不穏な影が漂っていた。

 横断歩道を渡る聖華の前に、突然、暴走車両が突っ込んでくる。

「っ……!」

 間一髪、身体を翻し避けた聖華。
 だが、それはただの事故ではなかった。
 不自然なまでの狙い澄ました動き——これは、明らかに罠だ。



「ダルゴス……やり方が陰湿だな」

 廃ビルの屋上から、状況を見下ろしていたセブンは、静かに目を細める。
 その隣には、宇宙警備隊本部から緊急派遣されたゾフィーの姿があった。

「奴は、戦士そのものより、その弱点を潰すつもりだ。
 人間社会に身を置くウルトラマンは、確かに隙が生まれる……」

 ゾフィーの声は厳しい。
 しかしそれは、戦士たちの痛みと苦悩を理解しているからこその言葉だった。



 夜。
 アパートの帰路、再び聖華は何者かに襲われる。
 だが、咄嗟の反撃と身のこなしで、辛うじて拉致を免れた。

「……完全に狙われている」

 己の素性が、すでに敵の手にある現実。
 それでも、ウルトラマンレオとして、鳳 聖華として、彼女は闘う覚悟を新たにするのだった。