夜の街に、まだ煙と破壊の余韻が残っている。
鳳 聖華の姿で、レオは瓦礫の中を静かに歩いていた。
変身を解き、人間社会に溶け込むことで、より詳細な情報を探るためだ。
「ギガファング……あの怪物を操っていた影、あれは一体……」
その時、背後に気配を感じ、聖華は素早く振り返る。
ビルの屋上に、黒いローブをまとった人物が立っていた。
「ふふ……地球の守り手が、女の姿とは滑稽だな」
その声は男とも女ともつかぬ、不気味な響きだった。
顔はフードの奥に隠れて見えないが、ただならぬ気配を放つ。
「お前……暗黒艦隊の者か」
聖華の問いに、影はゆっくりと頷く。
「我らの主が、この星を欲している。かつての円盤生物など、我らの手駒にすぎん」
「ふざけるな……地球は、誰にも渡さない」
聖華の目に、レオとしての誇りと怒りが宿る。
だが影は不敵に笑い、ビルの端から消え去っていった。
その直後、宇宙警備隊からの通信が届く。
『こちら宇宙警備隊地球観測班。地球周辺に未確認艦隊の反応を多数確認。暗黒艦隊の本格侵攻が始まる可能性あり』
「……ついに来るのか」
鳳 聖華——その姿のまま、彼女は夜空を見上げた。
だが、その中身は不屈の戦士、男のままのウルトラマンレオだ。
「来るなら来い……俺が、この星を護る」
赤き獅子の闘志が、再び燃え上がる。
そして、地球の新たな戦いの幕が開こうとしていた。